多様性の国インド

インドを語るにあたり必ず出てくるのがインドの多様性です。 宗教、言語、人種など実に多様です。

宗教 ヒンドゥー教80.5%、イスラム教13.4%、キリスト教2.3%、シーク教1.9%、仏教0.8%、
ジャイナ教0.4%、その他0.6%、宗教なし0.1%、ゾロアスター教10万人
言語 公用語はヒンディー、他に憲法で公認された21の言語がある。
英語は準公用語。
人種 インドアーリア族(紀元前 1,500年頃来印)、ドラヴィダ族(紀元前 3,500年頃来印)、
モンゴロイド先住民、チベットミャンマー語族

<<<宗教>>>

Secularism(世俗主義)で宗教による差別はなされないようになっているはずですが、実情はそうではないようです。

ヒンドゥー教
(Hinduism)
80.5%
ヒンドゥー教は多数派を占める民族宗教であるが、現在のインドは世俗国家であり国教はなく、 インドで国教と呼ばれたことはない。しかし身分・職業までを含んだカースト制等を特徴とする宗教である。
イスラム教
(muslim)
13.4%
ヒンドゥー教徒に次ぎ2番目に多く、これがインドの悩みの種です。
キリスト教
(Christianity)
2.3%
増加傾向にあります。アンタッチャブルより改宗した人がいる。
シーク教
(Sikhism)
1.9%
日本人にはインド人といえばターバンというイメージが強いのですが、 ターバンをするのはシーク教徒であり約50人に一人ということです。 インド人=ターバンという考えは、ホテルのドアマンに体の大きい髭の立派のシーク教徒が多いから生まれた、 という説があります。又、警察、軍隊関係にシーク教徒が多いからだという説も聞きました。
仏教
(Buddhism)
0.8%
インド発祥の仏教が1%にも満たないのは少し情けない気がします。 仏教徒と言えば貧乏人の代名詞のようなところも有ります。
ジャイナ教
(Jainism)
0.4%
不殺生主義であるため、ベジタリアンであり、虫一匹殺してはいけない。 ほとんどが商業(特に宝石関係)に従事。この一派である空衣派は一生真っ裸で過ごす。
ゾロアスター教
(Zoroastrianism)
約10万人
10万人はインドの人口からすれば誤差の範囲ですが、同教には社会的地位が高い人が多く、 インド社会に与える影響大である。(例:タタ)教徒は減少中

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<<<言語>>>

「ヒンディー(Hindi)」のみで言語を表すため、本来は「語」を付する必要はありません。 そのため「ヒンディー語」という表記は不正確といえます。 また、宗教名を用いた「ヒンドゥー語」「ヒンズー語」という表記は明らかに誤った表現といえます。

ヒンディーが公用語とされていますが、北部を中心に約4割の人がヒンディーを喋ります。 南のほうではほとんど通じないというのが実情のようですが、ある人の話しでは南部でも大学出の人で喋れる人もいるのですが、北部に対抗心があるのか喋らないとも聞きました。 南部ではヒンディー以外の21の言語が各州別に話されています。 更に1991年の国勢調査では、1万人以上の話者がいる言語数は114とされていました。
私の友人のインド人は、家の中・会社などで別々の言葉を使い分けるといっていました。

ヒンディー名刺

三井金属 触媒事業部 当時、私はヒンディーで書かれた名刺(裏面)を使っていた
他の日本人で、ヒンディー名刺を使っていたのを見たことがない。

ビジネスに関する限り英語が100%通用します。私の経験では外国人が行くところはどこでも英語が通用します。 ど田舎のホテルでも英語は立派に通用しました。
逆に言えば、英語が出来なければビジネスは出来ないので、 英語の出来ない人がインド駐在員になっては、当人もご苦労されますし、旨く行かないことになります。

私の知り合いで英語がほとんど出来ないのにインド駐在員にされ、 40代後半に一念発起し、英語を勉強された方がいます。かなりご苦労されたようです。
インド人は早口でインド訛りが強いので、私も最初は中々理解できませんでした。


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<<<人種>>>

先住民族として、アウストロアジア語族とチベットミャンマー語族があげられます。
紀元前3500年ごろ、ドラヴィダ族がイランからインド北西部に移り住んできたといわれてます。 人種的には黒色人種であり、色が黒いのが特徴です。 インダス文明を生んだのは彼らです。体は比較的小柄ですが、手足は日本人より長い。
その後、紀元前1500年ごろ北西部からやってきたのがアーリア族です。人種的には白色人種だったといわれています。 先住民だったドラヴィダ族を南に追いやりました。 実際、南に行くほど色は黒く小柄になる傾向にあります。

これらの宗教・言語・人種にカースト(サブカーストは2,000から3,000あるといわれる)を掛けると、最低でも 7×114×4×2000=6,384,000の組み合わせが出来てしまいます。同じ組に属する確率は、 単純計算すると1/6,384,000になります。 宝くじで一等に当たる確率どころではありません。 (勿論ヒンディを話すヒンドゥ教徒が中では一番多いのですが…) 従って、同じインド人といっても考え方が半端でなく多様なのです。

会議をしていても、皆考えが異なるので、取り敢えず自己主張しなければなりません。 その結果、喧々諤々 中々纏まらないということになります。話し合いで決めることが不可能な場合、 最後の切り札は占星術である。(占星術は合理的でない以上、合理的に反論できない)

それに比べれば、日本は大雑把に言えば宗教・言語・人種も単一なので、 「以心伝心」「阿吽の呼吸」という、外国人には理解不能な言葉が生まれてくるぐらい纏まりやすい。
このような背景があって 「国際会議を成功させる秘訣は、インド人を黙らせ、日本人を喋らせること」 というジョークが生まれたのでありましょう。


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世界最大の民主主義国家 … インド

第二次世界大戦後アジアで議会制民主主義を維持してきたのは、日本とインドだけ。 つまり政治的に非常に安定しているといえます。

インド国憲法は395条からなり、世界最長の憲法といわれています。 時の法務大臣アンベドカール(カースト最下層のアンタッチャブル出身)が作ったもの。 この憲法では、裁判所は議会より上に位置しています。 つまりインドでは誰でも政府の政策に不満があれば、裁判所に訴えることが出来ます。

これが何を意味するかは、中国と比較すれば良く分かります。 ご存知のように中国では、中国共産党が憲法の上に位置し、指導的立場を持っており、 憲法に反したことでも何でも出来るわけです。つまり 憲法の定義 を考えれば、中国では憲法は機能していないということです。
分かり易い例を挙げますと、中国の憲法第35条に「言論の自由」がうたってありますが、ご存知のように彼の国には「言論の自由」はありません。 さらに中国のインターネットの利用者(2010年末で4億5千7百万人)をも3万人といわれるサイバー・ポリスで取り締まっています。 最近、チュニジアのジャスミン革命のあとでは、ネットで「中国茉莉花(ジャスミン)」と書いただけでそのメッセージは消されてしまいました。 これじゃ、中華料理屋のメニューもネットに掲載できません。

世界最大の民主主義国家 vs 共産党一党支配の世界最大の独裁的国家。 この点で、インドと中国は全く両極に位置するといえます。


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中国との比較

以下にまとめた表は、インドと中国との単なる比較表ですが、コメントがないとよく理解ができません。

このチェックボックスにチェックを入れるとコメントが表示されます。コメントは講演内容の一部です。

  インド 中国
人口 12億1千万人(世界2位) 13億4千万人(世界1位)
国土の面積 日本の9倍 (7位) 日本の25倍 (4位)
DGP(2010) 1兆5380億ドル(世界10位)
ついにインドもGDPのトップ10入りを果たした。
5兆8783億ドル(世界2位)
ご存知の通り日本を抜いて2位に躍り出た。
1人当たりのGDP 1,265ドル 4,382ドル
産業構造
DGPに占める比率
(2009年)
第一次産業:17.1%
第二次産業:26.2%
第三次産業:54.7%
第二次産業より第三次産業が先に発達するという、珍しい経済発展をしてきた。
(2010年)
第一次産業:7.7%
第二次産業:49.7%
第三次産業:42.6%
粗鋼生産量(2010年) 6,680万トン(5位) 6億2670万トン(1位)
さすが中国、ダントツの世界一、世界の工場の証し。
法律(契約) 原則として遵守する
宗主国がイギリスなので契約の概念は理解する。 つまり契約違反は悪いと思いながらやるのである。
守ろうという義務感は希薄である。
中国人は悪いと思わずに契約違反をする。
知的財産所有権 偽物少ない 贋物多数
(例:ディズニーランド、ブランド品)
分類 ビジネスマン ? 商人「中国人と日本人」
法律は人を守るよりは困らせる為にある
安全 治安はよい
インドに駐在経験のある人は皆インドが治安の良い国だという。 金品略奪のための殺人
強盗は少ない。
粉ミルク、餃子等の例
多様性国家
(宗教、民族、言語)
Yes
世俗主義、差別無し(平等)
宗教的にはSecularism(世俗主義)により平等:実際は少し異なる。
民族による差別は明確でない。
Yes イスラム・キリスト教徒
55の民族、漢民族(92%)が優位に立つ
漢民族は他の民族を弾圧
北京オリンピックの時のチベットや新疆ウイグルの扱いを見ればよく分かる。
体制 世界最大の民主主義国家
議会制民主主義
第二次世界大戦後アジアで議会制民主主義を維持してきた国は、 日本とインドだけである。
共産主義
共産党一党支配
憲法はあるが、中国共産党はこれに違反することも出来る。
憲法 インド憲法は395条からなり世界最長。
裁判所は国会よりも上位に置かれている
共産党は憲法を超越する
憲法35条には言論の自由がうたわれているが、現に中国共産党はこれを無視している。 つまり憲法は無いに等しい。
外資優遇 原則として無い 優遇措置あり(二免三減)
高等教育を受けた者
(IT発展の根元)
多い(優秀 IIT等)
「2桁の掛け算が出来る」は嘘
第二次世界大戦後教育(特に理数系)に力を入れことを国策とした。 中でもIIT(Indian Institute of Technology)は有名でその卒業生は世界中から引く手数多である。
多い、しかしレベルはピンキリ
中国では1997年に100万人だった大学の卒業生が、2010年には600万人超となった。 このような急増に設備・教員が追いつくはずも無い。従ってその質もピンキリである。
英語力 高い
アジア第2位
英語力に関してはインドに言うことはない。日本人より圧倒的に上である。 私は触媒の営業でインドの二輪車メーカーを8社回ったが全部英語で応対可であった。
(低い)
中国では10社以上回ったが英語で対応可だったのは2社だけだった。
識字率 74%(地方政府の財政難による)
識字率は高等教育と相反するが低い。
これは地方政府の経済的理由によるものだろう。しかし10年前の65%より大幅に上昇している。
91%
対日感情 良い 少なくとも日本人であるが 故に不愉快な目に会ったことはない
インドの対日感情がよいのは日露戦争のおかげである。 アジアの小国日本が欧州の大国に勝利したということで、インド国民は大喜びをした。
悪い
政府がそのように教育している
中国は事ある毎に反日感情を煽っているので、いいはずがない。
電力事情 悪い 5年前より悪化 地域差有り
平均不足率10%
悪い
1人当りの使用量はインドの4倍弱
核兵器
中国はインドの隣国(ライバル)のパキスタンに核の技術を供与した。 この結果印中の関係は悪化した。
有り(自前の技術) 有り(自前の技術)
インドのライバルパキスタンに技術供与
進出済日系企業数
人数は外務省H.P.による
725社
(増加中)
22,000社
(減少中)
在日人数(滞在日本人)
人数は外務省H.P.による
23千人(4500人) 655千人(126千人)
CO2発生量
削減目標(京都議定書)
世界第4位
無し
世界第1位
無し
北京オリンピックに
於けるメダル獲得数
人口差はそんなに無いのになして?
金:1
銀:0
銅:2
或るインド人曰く「我々は肉体でなく、精神を鍛えている」(負け惜しみ?)
金:51
銀:21
銅:28
国民が不満をためないように国威を高揚する必要がある
金持ち
(世界のトップ10)
2人
2011年フォーブス誌「2008年にはインド人が4人いたのだが…」
0人
飲酒 良いことではない
事あるごとに禁酒(Dry Day)となる
カースト上位の人は厳格な菜食主義かつ飲酒はしない。つまり飲酒は悪いことである。 (因みに、未亡人の再婚も不可)
又、事ある毎に禁酒の日((Dry Day)となる。国民の祝日(例えばガンディーさんの誕生日)も禁酒である。 日本では逆にお酒を飲んで祝うと思うのだが…。
悪いことではない
カンペー!
この点だけは私は中国のほうが圧倒的に好きです。

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